2026年8月14日現在、YouTube Shorts、TikTok、Instagram Reelsといったショート動画プラットフォームの台頭により、縦型コンテンツの需要は爆発的に増加しています。OBS Studioも、このトレンドに対応し、バージョン32.2.2では縦型配信および録画の設定がより直感的になっています。本記事では、OBS Studioを使用した縦型配信・録画の最適な設定方法を解説します。
OBS Studio 32.2.2における縦型配信・録画の基本設定
ベースキャンバス解像度と出力(スケーリング)解像度の設定
縦型配信の核心は、OBS Studioのキャンバスを縦型に設定することです。
1. OBS Studioを開き、左下の「コントロール」ドックにある「設定」ボタンをクリックします。
2. 設定ウィンドウの左側メニューから「映像」タブを選択します。
3. ベース(キャンバス)解像度のドロップダウンメニューから、縦型の解像度を選択または手動で入力します。一般的な推奨解像度は以下の通りです。
* 1080x1920 (フルHD縦型、アスペクト比 9:16): 高画質を求める場合。
* 720x1280 (HD縦型、アスペクト比 9:16): 帯域幅を節約したい場合や、PCスペックが低い場合。
> 💡 ポイント: ほとんどの縦型プラットフォームで推奨されるのは1080x1920です。これに合わせて設定しましょう。
4. 出力(スケーリング)解像度も、ベースキャンバス解像度と同じ値に設定します。これにより、キャンバスで表示されている内容がそのままの解像度で出力されます。
> ⚠️ 注意: ベースキャンバス解像度と出力(スケーリング)解像度が異なる場合、意図しない画質の劣化や処理負荷の増加が発生する可能性があります。基本的には同じ値に設定することを推奨します。
5. 「FPS共通値」は、通常「60」または「30」に設定します。動きの激しいゲーム配信などでは60fpsが望ましいです。
出力(配信)設定
配信品質を決定する重要な項目です。
1. 設定ウィンドウの左側メニューから「出力」タブを選択します。
2. 「出力モード」を「詳細」に設定します。
3. 「配信」タブを選択し、以下の項目を設定します。
* エンコーダ:
* NVIDIA GPUを使用している場合は「NVENC (新)」
* AMD GPUを使用している場合は「AMD H.264/HEVC」
* CPUでの処理を推奨する場合は「x264」
> 💡 ポイント: GPUエンコーダ(NVENC, AMD)は、CPU負荷を抑えつつ高品質な配信が可能です。
* レート制御: 「CBR」(固定ビットレート)が最も一般的で推奨されます。
* ビットレート: 配信プラットフォームの推奨値を参考に設定します。
* 1080x1920 (9:16) 60fps: 4500〜6000 kbps
* 1080x1920 (9:16) 30fps: 3000〜4500 kbps
> ⚠️ 注意: ビットレートが高すぎると、視聴者のインターネット回線によってはバッファリングが発生しやすくなります。ご自身のアップロード速度と視聴者の環境を考慮して設定しましょう。
* キーフレーム間隔: 通常「2」秒に設定します。
* プリセット/プロファイル: 品質とパフォーマンスのバランスを見て設定します。例えば「P5: Faster (Good Quality)」や「High」など。
出力(録画)設定
配信とは別に、高品質な録画を残しておきたい場合の設定です。
1. 「出力」タブ内で「録画」タブを選択します。
2. 録画フォーマット:
* 「mkv」: 録画中にOBSやPCがクラッシュしても、そこまでのデータが保存されるため推奨されます。
* 「mp4」: より一般的な形式ですが、クラッシュ時にデータが破損する可能性があります。
> 💡 ポイント: 録画後に編集ソフトで開く場合は、必要に応じてmkvをmp4に変換ツール(OBS内蔵の「ファイル」→「録画を多重化」で可能)で変換できます。
3. エンコーダ: 配信と同様にGPUエンコーダを推奨します。
4. レート制御: 「CQP」(固定品質)や「VBR」(可変ビットレート)が録画では推奨されます。CQPは品質指定のため、ビットレートを気にせず高画質を維持できます。
* CQPレベル: 18〜23程度が一般的です。数値が小さいほど高画質になります。
5. ビットレート: 高画質を求める場合、配信よりも高いビットレートを設定できます。
* 1080x1920 (9:16) 60fps: 10000〜20000 kbps(CBRの場合)
* 音声ビットレート: 160kbps または 192kbps に設定します。
シーンとソースの配置最適化
縦型キャンバスでは、通常の横型配信とは異なるソースの配置が必要です。
1. ソースの追加: カメラ、ゲームキャプチャ、画像などを通常通り追加します。
2. ソースの変換・配置:
* 追加したソース(例: ゲーム画面)が横型の場合、キャンバスの縦幅に合わせるためにサイズを変更します。
* ソースを選択し、Ctrl+F (キャンバスにフィット) や Ctrl+S (画面にストレッチ) を試すことで、簡単にサイズ調整ができます。
* はみ出す部分は、右クリックで「フィルタ」→「クロップ/パッド」を追加し、数値を調整して不要な部分を切り取ります。
* Webカメラの映像は、縦型キャンバスの中央上部や下部に配置するなど、バランスを考慮して調整します。
> 💡 ポイント: スマートフォンで縦型動画を視聴するユーザーは、画面全体の情報量に限りがあるため、主要な情報を中央に集約し、文字情報などを大きく表示することを心がけましょう。
パフォーマンスとトラブルシューティング
スムーズな縦型配信・録画のためには、PCスペックの確認と適切な設定が不可欠です。
- PCスペックの推奨: 2026年8月14日時点の推奨スペックとして、CPUはIntel Core i7-13700K以上またはAMD Ryzen 7 7800X3D以上、GPUはNVIDIA GeForce RTX 4070以上またはAMD Radeon RX 7800 XT以上、メモリ16GB以上を推奨します。特に、高画質・高フレームレートでの縦型配信では、グラフィックボードの性能が重要になります。
- OBS Studioの更新: OBS Studioは活発に開発されており、最新バージョン32.2.2では、縦型モードに関するバグ修正や最適化が含まれています。常に最新バージョンを使用することで、安定性とパフォーマンスが向上します。
- フレーム落ち/画質劣化対策:
* OBSの右下にあるCPU使用率とフレーム落ちの表示を確認し、負荷が高すぎる場合は、ビットレートを下げる、エンコーダ設定を軽くする(例: プリセットをFasterにする)、不必要なソースを非表示にするなどの対策を行います。
* インターネット接続の安定性も重要です。有線LAN接続を強く推奨します。
- テスト配信/録画の実施: 本番前に、短時間のテスト配信や録画を行い、画質、音質、フレームレート、遅延などを確認することが重要です。
| 設定項目 | 配信推奨値 (1080x1920@60fps) | 録画推奨値 (1080x1920@60fps) |
|---|---|---|
| 解像度 | 1080x1920 | 1080x1920 |
| エンコーダ | NVENC (新) / AMD H.264/HEVC | NVENC (新) / AMD H.264/HEVC |
| ビットレート | 4500-6000 kbps | 10000-20000 kbps (CBR) / CQP 18-23 |
| 音声ビットレート | 160-192 kbps | 160-192 kbps |
| フォーマット | RTMP (配信プロトコル) | MKV (推奨) / MP4 |